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  • 執筆者の写真Kiyo Taniguchi

『スイーツと感話の時間』、一年間ありがとうございました

こんにちは!

ごちゃ倶楽部メンバーのまゆです。


去る2023年6月13日、1年間続けてきた『お坊さんと過ごす、午後のスイーツと感話の時間』が最終回を迎えました。

ここのところ3回ほど、開催毎のブログ更新を怠っていたので、まずは第10回~12回までのレポートを書いていこうと思います。



2023年4月4日

『第10回 抹茶チーズケーキと”歩む”編』 参加者:3名


前回、前々回と「こめる」→「芽吹く」と来たので、4月の暖かい陽気に誘われて、わたしたちもいよいよ動き出すイメージで「歩む」というテーマを据えました。

作ったスイーツは「抹茶チーズケーキ」。

今まで和のスイーツばかりを取り上げて来たので、ここに来てのチーズケーキは異彩を放っていますが、ゼラチンの替わりに本くず粉や寒天などを使用した、精進料理仕様のお寺スイーツならではのレシピで作りました。










































お茶はレモングラスを合わせて。

そして、今回ご参加いただいた方から奄美大島のお土産をたくさんいただいて、会は成り行きで第2部に突入します。

















ミキ、島らっきょ、パパイヤのお漬物、お茶請け味噌、黒糖蒸しパン、たくさんの甘い美味しいものたち!




感話の時間では、珍しくわたしのお話を中心に聞いてもらいながら、話が転がっていくような場になりました。

いつもは裏方のつもりで聞き役に徹していますが、回を重ねるごとに、感話の時間は成り行きに任せる、という形態が固まってきて、わたしもリラックスしていたからこそ出来た場で、こんなのもありなんだな、と思えた貴重な回でした。



2023年5月9日

『第11回 苺ジャム&ブラマンジェと”少し先”編』 参加者:4名


ラスト2回ともなると、自然と過去を振り返ってみたくなって、この場所で重ねてきた時間の手触りに思いをはせたら、「今ここ」にいることを大切に扱うようなお話、空間を作ってきたのかな、という思いが湧いてきました。

今まで「今」を大切にしてきたこの場所で、4月に「歩み」出したわたしたちに似合う次の動きに思いをめぐらせて、「少し先」という言葉がぽっと浮かびました。

スイーツと感話の会は、発足当初から「日常と地続きだけど、ちょっと特別な場所」というコンセプトを掲げています。

そんな場所の役割として、ここでほんの少し先の未来の話をし、その「ほんの少し先の未来」である日常に帰っていくとき、なんとなく力が湧いてくるような会にしたい、という願いをこめて、このテーマを選びました。

作ったスイーツは「苺ジャム&ブラマンジェ」。

こちらは木原さんの著書には載っていないレシピで、ここにいる「時間」を大事にしてきた会として、みなさんとじっくり果物を煮込んでジャムを作ってみたいと、少し前から企画していたプチ特別編です。

いつも参加者様には、木原さんのレシピをお持ち帰りいただいているのですが、今回は特別に、わたしの手書きのレシピと、それぞれに宛てた挨拶文を贈りました。





















一晩砂糖に漬け込んだ苺を煮詰めていきます。

今回は、果肉をごろっとさせたいので、まずはシロップのみを煮詰めて、果肉は後から加えます。

丁寧にアクを掬って、透明に、綺麗にしていきます。



















































アーモンドとココナッツミルクの濃厚クリーミーなブラマンジェに添えて完成!


感話の会では、毎回テーマを据えてお話してはいますが、腰を据えてワンテーマでお話するというよりは、自然の成り行きに任せてお話するということを心掛けるようになっていったことには前回も触れました。


そうしていると、関係ないお話をしているようでも、巡り巡ってテーマと響き合うようなお話が出来ているということが、以前も度々起きていました。

今回も、そうして時間と場所と思いがぐるぐる回っていく中で、ちょっと思いがけなかった未来へすとん、と着地するような会になりました。



2023年6月13日

『第12回 紫陽花と”出会い”編』 参加者:5名


遂に迎えた最終回は、最後だからこそ「出会い」というテーマを選びました。

最後というのはどうしても全てが終息していくような気がしてしまいますが、ここで出会った方々、ここで結ばれたご縁、ここで起こったことから始まっていくような、そんな開かれたものでありたいという願いを込めて、この言葉を置かせてもらいました。

作ったスイーツは「紫陽花」。

梅雨の上生菓子の定番を、木原さん流に餡をわらび餅にアレンジしたレシピで作りました。

梅雨時の疲れた体に少しでもやさしいものを、という思いが込められています。















寒天を紫陽花色にするために、紫芋パウダーを溶かし入れます。

だまになりやすいので、ある程度溶けたら、濾し器を使って綺麗に濾します。








































わらび餅は、第2回で作ったレシピを参考にして、今回は寒天に似合うように少し緩めに作ります。

寒天は冷やし固めたのち、細かく賽の目に切ります。角度によってアメジストの結晶のように輝きます。

















カップに盛り付けて完成!

おまけでわたしが前日に仕込んだ梅酒ゼリーと、参加者様から山形の絶品ワラビのおひたしも付いて、豪華なお茶会になりました。


紫陽花寒天は、酸に反応するとアントシアニンが紫からピンクに変化します。

左は、キウイフルーツと柚子のシロップでお色直しした寒天です。

本物の紫陽花も同様に、土壌の酸の値で花の色が変化します。




今回も、「出会い」というテーマから派生して様々なお話をすることが出来ました。

その中で、木原さんのお師匠さんがされている「暗闇ごはん」のお話も出てきて、わたしたちも目をつぶって味わってみよう、という時間があったりもしました。

目をつぶるだけで、その他すべての感覚が変わること、ここに集ったみなさまとそれぞれ研ぎ澄まされた時間を過ごして、いつもとちょっと違う静かな時間を持つことが出来て楽しかったです。

目をつぶるだけで出来る、贅沢な時間でした。






贅沢な時間、というのはなにも豪華な品物を取り揃えておもてなしするだけではないことを、このスイーツと感話の会を通して多くを学びました。

心を込めてお迎えの準備をすることで、まず自分の気持ちが整うこと、そのわたし自身でみなさんをお迎えすることで、安全な場所を作れること。

スイーツを作っていく過程を共有することで、喜びや発見が膨らむこと。

それはレシピを学ぶ以上の価値があること。

ある参加者様に、出来上がったスイーツを指して「ここに今日が詰まっている」と言っていただきました。

共有した時間が、美しく美味しいスイーツの形をして存在している。

それをまた、みなさんと一緒に召し上がる。

木原さんが、「美味しいものを食べる、と、美味しくものを食べる、という両方がある」というお師匠さんの言葉を紹介してくださいました。

続けて、「そのものの美味しさもあるけれど、関係の中で出来る美味しさをすごく感じるところだったなあと、12ヶ月を通して実感しました」とまとめていただき、ここでの1年間、たしかに贅沢な時間を重ねてこれたのかな、と、まるで鉱石の結晶のような紫陽花を眺めながら感じました。



昨日が、1年ぶりになにもない第1火曜日でした。

本当に終わったんだなあとやっと実感するとともに、一旦終わったからこそ、ここから始まっていくものもたしかにあるなと感じてもいます。

スイーツと感話の時間は、我ながら不思議な空間だったと思います。

お坊さんと一緒にスイーツを作って、感話の時間にたっぷりお話をしましょう、という概要からして不思議だし、実際、ここで起きたこと、人との出会い方って、なかなかないものだったのではないか、と思うのです。

わたしが促すまでもなく、初めましての方も関係なく会話が始まって、どんどん共通の話題や不思議なご縁が発覚したり、いつの間にか持ち寄り会のように食べ物が集まって、豪華なお茶会に発展したり、こちらが想定していないことばかりが起きるので、わたしたちもそれを楽しみに、流れに乗って場を見ていくことを心掛けるようになってから、どんどんこの会のカラーが決まっていったように思います。


ここだから出会えた方々、ここだから話せたこと、ここだから分かち合えたものがたくさんちりばめられた場所でした。

毎月同じ場所に、色んな方が集い、通り過ぎ、また集まったりして、繰り返しの中にもずっと新鮮な風が吹いていました。

そしてこの、不思議な場所での出来事は、それぞれの暮らしに帰ってからも、確かな自分の物語として身体にじんわり馴染み、日々の糧になったり、お守りになったりするものかも知れない、そうだったらいいな、と思っています。


最後に、一緒に運営して、中心になっていただき、毎回美味しいスイーツを作っていただいた木原さん。

初めてのイベント主催で右も左も分からないわたしのよすがになっていたのは木原さんでしたし、その上で、肩の力を抜いて楽しむことが出来るようになっていったのも木原さんがいてくださってこそだったと思っています。

いつも木原さんに助けられていました。本当にありがとうございました。

そして、場所を提供し、まず場づくりの心得から教えてくださった起代さんにも、たくさん助けていただきました。

それからなにより、参加者の皆様に、毎回あたたかく見守っていただけたからこそ、無事に最終回を迎えることが出来ました。

この1年間、頼りない主催者を支えていただき、ありがとうございました。


スイーツと感話の時間は、これにて一旦終了となりますが、ここで出来た貴重なご縁、貴重な空間を何らかの形で繋げていきたいとも思っております。

まだ名前も付かない場所で、いつか会える日を楽しみにしております。


皆様1年間、どうもありがとうございました。




『お坊さんと過ごす、スイーツと感話の時間』主催 飯塚真結

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