共創する身体づくり講座 ≒ 寺で胆力をつける「てらたん」講座
共創ラボのオリジナル講座
news update!
2021年1月 てらたん講座 第4期 開催決定しました。
少人数制(4〜5名)希望者が確定した時点で日程調整し開催日を決定いたします。
ご関心ある方は、こちらへご連絡ください。
【講座のねらい】
・心理療法を、人間理解を深め、自分自身を知り、自分と他者との関係や、自分自身をとりまく状況を把握し、その状況を
より良くするツール(知識と経験の宝庫)として、体感する。
・心理療法の領域にある叡智を、日常にどう活かすことができるのか、共に探究する。
・「こころ」「身体」「関係性」「霊性」「場」といった人間存在を本質的に成り立たせることがらに対する理解を深める。
【この講座の特徴】 —世の中に多く出回っている心理療法系の講座との違いー
心理療法には様々な技法が数多く存在します。現在、それらを個別に学び体験する場はたくさんあります。ある1つの技法を学んだ人がその功罪の十分な検証作業を行うことなく「善いもの」として広め、それが商売として成り立つこともあり、医療や福祉と独立した領域で提供されている心理療法が、本当に苦しんでいる人の助けにならないカタチで広まっている実情があります。
「てらたん」講座は、このようなことが起こる社会的背景への批判的な考察を元に組み立てたものです。この「てらたん」は、錯綜している心理療法の教えや技術の数々を俯瞰した視点で捉え、結局のところ心理療法って何なのか、様々な技法をどのように位置づけたらいいのか等、長年私が格闘してきて現在たどりついているところの視座を共有する、つまり、言うなれば「心理療法が成り立つメカニズムのたねあかし講座」です。
最終回では、総括として、この講座で学んできたことを、どう日常(それぞれの人の仕事や生活における役割や課題など)に活かしていけるのか、「暮らし」に結びつけてそれぞれの生活や実践に落とし込む作業を行います。この作業を共に行うというところも、この講座の特徴です。
この「共に」あることができる場は、講座終了後も希望者には開かれています。講座修了者が連なる「てらたん塾」は、受講者がいつでも帰ってこれる場であり、日々の課題を共に探究し合える場です。(てらたん塾のアルバムはこちら)
【講座の枠組み】
この講座は、講義と演習と総括(プレゼン)の3つの形式を取り入れ、概念や理論、または、体験のどちらかに偏ることなく、重層的な学びを体得できるカリキュラムとなっています。
講義では、心理療法の基本のみでなく、現代社会における心理療法の機能を知るために社会構造や歴史、制度的な背景についても学びます。演習では、主に、身体性を重視したソマティック心理療法とシステミック心理療法を体験します。(これらを体験することで得られる視座については、※1を参照ください。)
総括では、ブレストシートを使って、これまで講座で学んだり体験してきたことと、自分自身の日常の課題とのつながりを探り、どのように自分の日常に活かせるのかをプレゼンします。プレゼンといっても形式は自由です。一人20分〜40分程度(希望に応じて)を自由に使い、今、現在の自分が辿り着いている気づきを表現する場です。これまでに、絵を描いてそれについて発表した人もいましたし、ミニ・ワークショップをした人もいます。
図:てらたん講座の枠組み:「共に探究する」フレーム
【講座概要】
以下は、講義内容の簡単な説明です。(カーソルをあててみてください。各項目に関連する写真や資料が見れます)
全カリキュラムをだいたい24時間から32時間くらいかけて学びます。これまで、第1期は1日4時間を月1回、6ヶ月かけて行いました。第2期は、1日8時間を3日で開催しました。スピンオフ的に開催した「企業社会バージョン」は、1日8時間を全4回で開催しました。このように、受講者の要望とスケジュールの希望に合わせて内容と時間を調整し、開催しています。
【講義】 ・講座の枠組み ・私たちは、今、どんな社会に生きているのか ・「リレーショナル・ヘルス」
【演習】 ・身体で聴く・聴き合う ・身体に入る ・身体のサイン ・筋力テスト
【講義】 ・課題を抽出する視座 ・セラピストが見ているもの ・身体/言語/非言語
【演習】 ・惹かれるままに・・・そして落ち着く。 ・カラーマット遊び ・イメージと身体
【講座】 ・現代社会におけるセラピーの機能 ・技術とフィールド ・リフレーミング ・personal / systemic
【演習】 personal approach キネシオロジー系ハーフ・セッション ・身体のサインに気づく ・サインの背景にあるストーリーに気づく ・リフレーミング
【講義】 ・身体性を重視するということ ・身体の5つの階層
【講義】 ・自立し自己実現に向かう個人 ・関係の中にある健康、関係の中にある〈いのち〉
【演習】ゆるむ・ゆるめる ・臨床動作法 ・痛みの解放 ・細胞に光を
【演習】 こころの声を身体に聴く 曼荼羅ぬりえを通して
【演習】 Systemic Approach ファミリー・コンステレーション体験を通して、 「いのち」「健康」を捉え直す
自分の日常・実践につなげる ・ワークシート作成 ・プレゼンテーション
【受講料】
・目安は、1日8時間で例えば10〜18時(休憩あり)で開催した場合、1日8000円位です。通し受講の割引あり。
・農的暮らしをされている方などからは、お米など、お金以外の方法でのお支払いも受け付けています。
・会場費がかかる場合は、その金額を上乗せする場合もあります。
・講座は、探究の入り口として位置づけています。講座修了後に希望者が連なる「てらたん塾」の参加費は1000円(+会場費
500円)です。これは、場を継続していく協力費としていただいています。
この講座を組み立てた背景
長年、コミュニティづくりの領域で働いてきましたが、その困難さの理由を突き詰めていった時に、現代の私たちは本当に「他者と共に生きる力」を失ってしまっているのだと痛感することが多くありました。他者と共に生きるというのは、楽しいことだけではありません。しがらみと感じることも多くあるでしょうし、面倒くさいことややっかいごとに巻き込まれることもあるでしょう。ですが、それらは同時に、視点を変えてみれば、その人の人生を充実させ重みを与え意味を与えることも多いのです。しがらみを楽しめる力、しがらみを躍動の原点に変えられるような発想の豊かさ(最近、このような質をネガティブ・ケイパビリティー※注2 と言うこともあります)を学べる場所をつくりたい。そんな思いを長年持っていたところで、はじまりました。
※注1 ソマティック心理療法やシステミック心理療法を体験することから体得する視座
これらの療法を用いる理由として、理屈ではなく身体感覚を伴って体験する可能性があり、身体感覚を伴った体験は、講義で学ぶことと比べ、日常において、行動変容を促す作用を持ち得るという臨床体験があるからです。
・負の感情の裏には必ず正(前向きな)の感情がある。感情それ自体に善し悪しはない。
・体は情報の宝庫である。体は常に様々なサインを発している。
・人の中にはいくつもの時間が同時進行的に流れている。
・記憶は常に変容の過程にある。現実の認知の仕方が変わると記憶も変わる。
・他者と自分の境界は、意識が認識しているよりもずっと曖昧なものである。
・常に人は「場」の作用の影響化にある。
・人はいくつもの時空を生き、いくつもの物語を生きている。関係の中に織り込まれた存
在であり、その関係ごとに「自己」が立ち現れる。一貫した「自己」はない。
※注2 ネガティブ・ケイパビリティ---「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」または「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力